滋賀県坂本 延暦寺の門前町・石積みの町・日吉大社
比叡山に上るケーブルカーの起点である坂本の町はかつて延暦寺の門前町として栄えました。町には、穴太衆(あのうしゅう)と呼ばれる石積み職人による石垣が今もいくつも見られ、通りには比叡山から隠居した僧侶が住む里坊が並んでいます。
天海(慈眼大師)という人物がいます。家康、秀忠、家光にブレーンとして仕え、信長の焼き討ち後の比叡山の再興に尽くしたとされ、慈眼堂(じげんどう)という廟に祀られています。この天海は謎の人物で、実は生き延びていた明智光秀だったという伝説もあります。光秀は坂本城を築き、この地を治めていました。一方で信長の焼き討ちに中心的に加わっていたという説もあります。
石積みの通りを歩いていくと日吉大社に着きます。
全国約3800社の日吉・日枝・山王神社の総本社です。通称、山王権現。主祭神は東本宮がオオヤマクイ、西本宮がオオナムチ(大国主)。古事記に「オオヤマクイノカミが日枝の山に座し」とあり、約2100年前の崇神天皇7年に今の場所に移されたと記されているそうです。まさに神話の世界ですが、この日枝の山というのが比叡山で、だから日枝神社なのだと合点がいきました。
平安京遷都の際は鬼門の厄除けの社として、延暦寺が開かれてからは天台宗の護法神としても祀られてきました。またオオヤマクイノカミは酒造りの神様でもあり、京都の松尾大社の主祭神でもあることから松尾様とも呼ばれます。
魔が去るに通じる神猿(まさる)を神の使いとし、参道の猿岩(さるいわ)は来る者に神縁を結び、去る者を見守るとされています。境内では本物の猿も飼われています。
参拝を終えて一休み。坂本駅の近くに「本家鶴喜そば」があります。ここは創業300年を誇り、代々、山上の延暦寺に仕出しのそばを作りに行っていたということです。楽しみにしていたのですが、訪れた日は、月に一回程度しかない休業日でした。残念。